主人公の山本幡男さんを演じた二宮和也さんが、第46回日本アカデミー賞で優秀主演男優賞を受賞したことでも話題となった「ラーゲリより愛を込めて」。
歴史上に実在した「シベリア抑留」や「強制収容所(ラーゲリ)」ですが、すべてが実話とされています。
「遺書」「子孫」というポイントから「ラーゲリより愛を込めて」を紐解いていきます。
「ラーゲリより愛を込めて」は全てが実話!概要とあらすじ
ラーゲリより愛を込めて
シベリアの強制収容所(ラーゲリ)に抑留された実在の日本人捕虜である山本幡男を題材とした伝記ドラマ。
原作 | 収容所(ラーゲリ)から来た遺書 著:辺見じゅん |
製作 | ツインズジャパン |
公開日 | 2022年12月9日 |
上映時間 | 133分 |
ジャンル | 戦争、歴史を元にした実話映画 |
監督・脚本 | 瀬々敬久 |
キャスト | 二宮和也 北川景子 松坂桃李 中島健人 寺尾聰 桐谷健太 安田顕 |
出演者は二宮さんの他にも、夫の帰国を待つ妻・モジミさんに北川景子さん、山本さんと同じラーゲリで過ごした日本人捕虜に、松坂桃李さん、桐谷健太さん、安田顕さん、中島健人さんなど豪華俳優陣が出演。
「友罪」「64」「護られなかった者たちへ」などで有名な瀬々監督がメガホンを取り、公開前から注目を浴びていた作品です。
あらすじ
物語の舞台は、第二次世界大戦後のシベリア。ソ連軍の捕虜として強制収容所(ラーゲリ)に抑留された日本軍兵士が居ました。その数およそ60万人。
冬にはマイナス40度にもなる極寒の地で、朝に与えられるわずかな食糧と、重労働を強いられる過酷な日々が続きます。
絶望的な日々の中で、栄養失調で息絶える者、自ら命を絶つ者、逃亡を図り命を落とす者が続出。さらには抑留者同士での争いも勃発します。
長期化する抑留生活で、ラーゲリに生きる誰もが日本への帰国(ダモイ)へという「生きる希望」を日に日に失っていました。そんなラーゲリにただ一人、生きる希望を捨てない人物がいました。山本幡男さんです。
生きる希望
「生きる希望を捨ててはいけません。帰国の日は必ずやって来ます。」
山本さんは、ラーゲリで共に生きる仲間たちに度々この「生きる希望」を口にし、そして満州から日本に引き揚げた家族との手紙にも「希望」を書き記していました。
しかし、次第に山本さんの身体は病に侵され、帰国は絶望的に。山本さんは帰国して家族と再会する日を決して諦めてはいませんでした、が…。
どんなに過酷な状況でも希望を持ち続ける「山本幡男」という人物の半生、そして戦後という混乱の時代を力強く生きた人々を描いた物語です。
「ラーゲリより愛を込めて」は実話を元にした小説が原作
収容所(ラーゲリ)から来た遺書
辺見 じゅん (著)、解説・吉岡忍
1992/6/10 文春文庫
「大宅賞」「講談社ノンフィクション賞」のダブル受賞に輝いた感動ノンフィクション作品。
強制収容所に屈しなかった男達のしたたかな知性と人間性を発掘した労作。
一章.ウラルの日本人俘虜
二章.赤い寒波(マロース)
三章.アムール句会
四章.祖国からの便り
五章.シベリアの「海鳴り」
映画「ラーゲリより愛を込めて」の原作は辺見じゅん著の小説「収容所(ラーゲリ)から来た遺書」です。
映画を観た後に原作を手に取ることが多い人もいるでしょう。原作は実話を元に作られているため、さらに深く知ることができます。
敗戦後の日本の大変さ、抑留された人々の苦悩があったから、今の日本があると思い知らされる傑作です。
病に侵されていた山本さん
タイトルに「遺書」とあるように、誰よりも強く帰国を望んでいた山本さんは、残念ながらその希望を果たすことは出来ないまま、遠いシベリアの地で亡くなりました。
長年の収容所での生活による影響もあったのでしょうか。山本さんの身体はガンに侵されていました。仲間たちによるソ連への命がけの懇願の末に医者による診断がなされましたが、余命僅か3ヵ月。
山本さんの帰国は絶望的となります。
山本さんのおかげでラーゲリ内で生きる希望を見いだすことができた仲間たちは、死が迫る山本さんへ「遺書」を書くよう進言しました。震える手で、最後の力を振り絞って遺書を書きあげた山本さん。
しかし、文字を残すことはスパイ行為としてみなされるラーゲリにおいて、遺書を没収されてしまうことを恐れた仲間たちは自らの頭の中に遺書を残す、つまり暗記という手段を取ります。
仲間達によって届けられる山本幡男さんの遺書
日々の労働の中で、山本さんの書いた文章を何度も何度も口にして暗記する仲間たち。
山本さんに助けてもらったという恩や、「山本さんの言葉を日本へ届ける」という使命が、当時の彼らの原動力だったのかもしれません。劇中でもどれだけ山本さんがラーゲリの中で慕われていたかがわかる場面でした。
11年にも及ぶ抑留期間が終わり、彼らはついに希望であった「帰国」の日を迎えます。
日本に着き、各々の故郷へ戻った彼らは、それぞれ山本さんの家族が暮らす家を訪れ、妻、子供たち、そして山本さんの母親に向けて、自らの頭に記憶した内容を読み上げます。山本さんの「遺書」を無事届けたのです。
山本幡男さんの背景
1989年に先述の「収容所から来た遺書」が出版され、山本さんの存在と、遺書が広く知られるようになりました。やがて、山本さんの故郷である島根県西ノ島町の「西ノ島ふるさと館」には「山本幡男資料室」が設けられ、現在も山本さんに関する資料や、遺書が展示されています。
山本さんには、4人の子供がいます。劇中では、現代における長男の顕一さんを寺尾聰さんが演じていました。山本顕一さんは、1935年生まれ。10歳の時に満州で終戦を迎え、母モジミさんと兄妹と共に帰国されました。
その後、東京大学でフランス文学を学び、立教大学などで教鞭をとり、現在は立教大学名誉教授でいらっしゃいます。文学に精通されているという点で、幡男さんと同じですね。
幡男さんからの遺書が届いたのは大学3年生の時。当時は遺書に記されている「子供たちへの希望」を責任に感じていたとのことです。
次男の山本厚生さんは大連生まれ。小学校1年生の時に最後に幡男さんを見たと記憶されています。現在は建築家として、神奈川県秦野市のまちづくり活動や、講演会を行っていらっしゃいます。
顕一さんも厚生さんも今なおご活躍されており、博識高い点は幡男さんに通ずるものがあると感じられます。
「ラーゲリより愛を込めて」の配信
ラーゲリよろ愛を込めての配信を行っているのは意外と少なく、レンタル中心となっています。
Amazonプライムにご加入の方はそのままレンタルで閲覧可能ですし、Leminoなら無料期間を利用することができます。
Amazon
Amazon Prime Video
月額料金600円(税込)
30日間無料体験あり
年間払い5,900円(税込)1,300円お得
Amazonの配送料無料、Amazon musicなど付帯するサービスが多いのが魅力
Amazonプライムは通販の送料が無料となるため、加入者数が最も多く、動画配信もついでに見られるためお得です。
「ラーゲリより愛を込めて」はプライム会員になることで無料で閲覧可能です。すでに会員の方はそのまま閲覧してみましょう。
無料期間もあるため、そのまま「硫黄島からの手紙」など、日本の戦争ジャンルを見ていくのもいいでしょう。
Lemino
ドコモが提供しているLeminoは、月額料金も安く無料期間もあるので、お試しで利用することもできます。
「ラーゲリより愛を込めて」はレンタルでの配信となっているので追加料金を利用すれば閲覧可能。dポイントを貯めてい方ならdポイント支払いもできるため、ドコモユーザーに最適な配信サイトです。
「ラーゲリより愛を込めて」はすべてが実話
ここまで遺書や山本さんの息子さんについて見てきましたが、いかがでしたでしょうか。映画「ラーゲリより愛を込めて」は「すべて実話」と言えるのではないかと考えます。
どんな状況でも人間らしく生きること、誰かを愛すること、希望を持ち続けること。
企画プロデューサーの平野氏は「いわゆる“戦争映画“ではなく人間賛歌の映画であり、愛の物語」と述べており、ここ数年のコロナ禍やロシアによるウクライナ侵攻などで混乱の現代に通じる点が、この作品の生まれた背景にもあるとされています。
2022年12月に公開されてから全国の映画館で多くの観客を動員させてきたのも、まさにそういった状況が影響しているのかもしれません。
ぜひ多くの方に観て頂きたい作品です。
Leminoレミノの料金システム・人気コンテンツやdTVとの違い キングダム映画はどれから観る?実写シリーズ全4作品の概要紹介 映画「PERFECT DAYS」はどんな話?作品レビューと口コミ評価