昭和生まれに多大な影響を与え、濃いファンが多いスラムダンク。筆者も当時は小学生で現在は40代となってしまいました。
映画「THE FIRST SLAM DUNK」は認知度の少ない若い世代も取り込む形となり、1996年3月23日のアニメ終了から30年近く経っても人気が衰えることがありません。2024年8月13日から全国100近くの映画館で復活上映も決定しています。
声優の変更やアニメーションから3D映像になったりと変更点は様々。
熱烈なファンからは酷評もあったりと、本当に評価が分かれる作品の代表かもしれません。そんなスラムダンクの作品紹介とレビューをしていきます。
映画「THE FIRST SLAM DUNK」概要
タイトル | THE FIRST SLAM DUNK |
公開日 | 2022年12月3日 |
監督 | 井上雄彦 |
上映時間 | 124分 |
吹き替え | 木村昴(桜木花道) 神尾晋一郎(流川楓) 仲村宗悟(宮城リョータ) 笠間淳(三井寿) 三宅健太(赤木剛憲) |
主題歌 | THE BIRTHDAY「LOVE ROCKETS」 10-FEET「第ゼロ感」 |
TVアニメの続編ではなく別物
TVアニメは湘北メンバーが全国大会へと向かうところで完結し、全101話で終了となっています。
湘北が「陵南と翔陽の混成チームと練習試合を行う」という漫画とは違うオリジナルの展開。花道が合宿シュートを初披露するという最後の見せ場で終わりとなりました。
映画は山王戦なのでインターハイの豊玉戦はアニメ化されていません。
漫画が終了してから25年以上が経ちましたが、ようやくインターハイの山王工業高校との戦いのみが映画化される形となりました。
ファンの期待に応えた作品
マンガ連載終了当時は「これで終わり…?!」「モヤモヤモヤモヤ」と感じたファンが全国にいました。
それと共に「続編」に関する様々な憶測が飛び交っていました。
- インターハイが終わったし切りがいいのでは?
- 山王戦はアニメでやらないの?
- 赤城、小暮が抜けた湘北高校も見たい
- 流川の日本代表戦は?
漫画では湘北高校がインターハイを制覇するものだと思っていた読者が多数。愛和学院に嘘のようにボロ負けするなんて結末は思ってもいなかった人が多いでしょう。
スラムダンクの映画公開が発表されると山王戦をやってほしいという声が多く、ファンの期待にも応えた映画の仕上がりとなっています。
映画「ファーストスラムダンク」がひどいと言われる理由
映画を観終わった感想としては、「山王戦が2時間の映画でまとまるわけがない」というのが率直な感想です。
私自身もスラムダンクのファンで、セリフで遊んだり、漫画本も何回も読み、陽に焼けている世代。
これも個人的感想になりますが「鬼滅の刃のようなCGアニメーションでやってほしかったな」というのも感想としてあります。
山王戦を本気で再現するなら3部作は必要。それゆえ、往年の濃いファンには納得のいく作品にならなかったのではないでしょうか。
逆に高評価の声も多く、「山王戦をやってくれてありがとう」と涙するファンもいます。納得いかないと言われる箇所を紹介していきます。
ファンが大切にしているシーンが数秒で終了
漫画での山王戦は25巻から31巻となっており、かなり濃い内容のため、じっくり読むなら2〜3時間はかかる内容です。
山王戦で描かれるドラマはかなり多くなっています。
- 三井が限界を越えるシーン
- 宮城がゾーンプレスを抜けるシーン
- 桜木 VS ポール、河田兄弟
- 対河田のセンター戦でゴリの挫折
- 沢北 VS 流川のエース対決
- 沢北と親父の1on1
- 桜木の背中を痛めるシーン
それぞれのシーンで胸が熱くなり、涙した人も多いでしょう。
ですが、2時間映画のため、これらのシーンは一瞬にして過ぎ去っていきます。「えっ?あのシーンがこれで終わり!?」と思った方も多いはず。
ですが、山王戦を2時間でまとめ上げるとなると尺が足りないため重要なシーンはカットしていく必要があります。数々のドラマを薄くされてしまったことに納得できない人も多いでしょう。
3DCGの違和感
CGプロデューサー | 小倉裕太 |
CGディレクター | 中沢大樹 |
アニメーション制作 | 東映アニメーション、ダンデライオンアニメーションスタジオ |
CGディレクターを務めたのは「劇場版 マジンガーZ / INFINITY」「映画Go!プリンセスプリキュア Go!Go!!豪華3本立て!!!」を手がけた中沢大樹。
アニメ感が強すぎず、リアルすぎないように作品を仕上げることに成功しています。
山王戦から絵のタッチが変わる
原作の山王戦からはギャグ感が減り、絵が変化する時期でもあります。井上雄彦の別作品「バカボンド」や「リアル」に似たリアル感が増したタッチで描かれているのも特徴。
映画のCGでは少し原作の迫力が伝わらない部分もありますが、バスケの躍動感はスムーズに仕上がっています。
スピード感を出すシーンと、分かりやすく見せたいシーンはスローを使うなどメリハリをつけた演出も特徴的です。
映画やアニメ化する時点で難易度が高い
スラムダンクは原作が良すぎることもあり、アニメ化した時点でも少なからず不評がありました。今回のファーストスラムダンクも同様の評価をする方が多くいます。
何十回、何百回と原作を読み返し、セリフが自然と出てくるような昔からの熱烈なファンからすると微妙な評価が多く、浅いファン層からは高評価を得る形となっています。
それに加え、今回の映画は声優も変わり、3DCGでよりリアルに描かれているため、ストーリーや登場人物は同じではありますが、全くの別物の作品を見ている感覚になります。
ギャグタッチが皆無
スラムダンクはリアルな絵とミニチュアの絵を切り替えることによってコメディ要素も取り入れていました。原作でもアニメでも表現されていた方法ですが、映画では扱われていません。
これによって、笑いどころは皆無となり桜木と流川の仲の悪さやゴリと桜木の隠れた信頼関係などは表現力が足りなくなっています。
映画の尺的にも難しかったと言えるでしょう。
映画では面白い要素は皆無で、淡々と試合と回想シーンが流れていきますので、このあたりもファンからすると物足りなさを感じる要因かもしれません。
背景が省略されすぎ
今作品は宮城がフューチャーされたことにより、他の選手の確執や山王戦に賭ける想いなどの背景が省略されています。
そこを描く代わりに宮城の過去が取り上げられています。宮城の設定は原作でも大まかに決められていたこともありますが、原作ではさほど描かれてはいませんでした。
三井や赤城、小暮との回想シーンはありますが、兄弟や過去に何があったかなどは触れられていません。バスケを始めるきっかけとなった兄弟とのオリジナルシーンの挿入はファンも嬉しい仕様と言えるでしょう。
流川が日本一を目指すことになったきっかけや、沢北の過去などもないため、あらかじめ原作を読み込んでいないと感情移入しにくい仕上がりとなっています。
原作からの変更シーンあり
映画は本当にサラッとしているなと感じてしまうのが重要シーンのカットと変更点の多さ。
- 河田美紀男(丸男)と花道の勝負がカット、いつの間にかポールと交代している
- 「大好きです。今度は嘘じゃないっす」なし
- 沢北とのエース対決中に花道が流川のシュートを妨害するシーンなし
- 「魚住の乱入」が「悪魔の囁き」に仕様変更
上記のシーンがカットや変更され、登場人物も極力削除されている。コートの観客席も顔無しばかりで応援に来ている他校の選手が描かれることは無し。
非常にサラッとした仕上がりで、余計なものは一歳登場させないことで原作の遊び心あるスタイルが感じられなくなっています。
オリジナルシーンはファンも嬉しい変更点ではあるが、6巻を費やした山王戦をアッサリ終わらせすぎてしまっている点がファンの微妙な反応にも繋がっていることでしょう。
映画「THE FIRST SLAM DUNK」配信サイト
スラムダンク映画「THE FIRST SLAM DUNK」は殆どの配信サイトで取り扱われていません。
閲覧するには「TSUTAYA DISCAS」か「Netflix」を利用するか、DVD、Blu-rayを購入するのがいいでしょう。
TSUTAYA DISCAS
TSUTAYA DISCAS
月額料金1,026円(税込)〜
無料期間最大30日
郵送でDVDやCDを受け取ることができ、返却もポストに戻すだけ。充実の作品ラインアップと手軽なシステムが、多忙な日常に彩りを添えます。定額リストで好きな作品も登録可能。
TSUTAYA DISCASはDVDやBlu-rayを宅配でレンタルできるサービス。
マイナー作品も取り扱いがあり、ほとんどの作品をレンタルすることができます。返却はポスト投函なので店に行く必要もありません。
DVDやBlu-ray派の方であれば便利に使いこなすことができるでしょう。
Netflix
Netflixはベーシックプランを選べば料金も安く、オリジナル作品が多い配信サイトです。
複数で閲覧するにはスタンダードプラン以上がおすすめです。アニメのスラムダンクから映画「THE FIRST SLAM DUNK」まで取り扱いがあります。
原作アニメの配信サイト
1993年〜1996年に放送されていたテレビアニメや映画の取扱情報をまとめています。過去作を見返しつつファーストスラムダンクを閲覧するのもいいでしょう。
加入者が多いAmazonでも取り扱いがあるため、プライム会員の方はそのまま見ることができます。
漫画を全巻持っている昔からファンの方はDVD、Blu-rayを購入する方も多い傾向にあります。
映画「THE FIRST SLAM DUNK」続編に期待
THE FIRST SLAM DUNKに関して井上雄彦は続編の可能性について明言していません。
あるかもないかも分からないようなコメントを残しています。
原作でもインターハイ優勝することなく終了しています。流川の全日本や、3年が抜けた後の湘北高校バスケ部、放送されなかったインターハイ1回戦目など…挙げたら切りがありませんが、復活上映を何回も行っていますので、今後の続編に期待しましょう。
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