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映画「枯れ葉」作品レビューと作中のフィンランド楽曲詳細

映画「枯れ葉」

一度は引退宣言をしたアキ・カウリスマキが帰ってきた!

労働者に寄り添うような視線で作品を撮り続けてきたカウリスマキ。

労働者3部作に続く作品として、映画『枯れ葉』は作られました。

第76回カンヌ国際映画祭では審査員賞を受賞し、評論家からは絶賛の嵐!それに伴って観客の口コミも広がり、世界中で大ヒット。日本でもミニシアター系の劇場で好調な観客動員を記録しました。

「愛を、信じる」

映画『枯れ葉』は、忘れていた何かを思い出させてくれる優しい映画です。

映画「枯れ葉」作品概要

枯れ葉

 (3.5)

フィンランドの名匠アキ・カウリスマキが5年ぶりにメガホンをとり、孤独を抱えながら生きる男女が、かけがえのないパートナーを見つけようとする姿を描いたラブストーリー。カウリスマキ監督による「パラダイスの夕暮れ」「真夜中の虹」「マッチ工場の少女」の労働者3部作に連なる4作目で、厳しい生活の中でも生きる喜びと誇りを失わずにいる労働者たちの日常をまっすぐに映し出す。

タイトル(原題)枯れ葉 Kuolleet lehdet /Fallen Leaves
監督アキ・カウリスマキ
脚本アキ・カウリスマキ
キャストアルマ・ポウスティ
ユッシ・ヴァタネン
ヤンネ・フーティアイネン
ヌップ・コイヴ
製作年2023年
製作国フィンランド
上映時間81分
劇中歌「竹田の子守唄」
「GET ON」
「SYYSPIHLAJAN ALLA」(秋のナナカマドの木の下で)
「セレナーデ」(「白鳥の歌」D957/965a 第四曲)
「マンボ・イタリアーノ」
「交響曲第6番ロ短調「悲愴」」
「デッド・ドント・ダイ」
「ETKÖ USKALLA MUA RAKASTAA」(私を愛する勇気はあるの?)
「AAMUÖISEEN SATEESEEN」(夜明け前の雨)
「SYNTYNYT SURUUN, PUETTU PETTYMYKSIN」
(悲しみに生まれ、失望を身にまとう)
「ARPISET HAAVAT」(傷だらけ)
「KUOLLEET LEHDET」(枯葉)

2017年、『希望のかなた』のプロモーション中に監督引退宣言をし、世界中のファンを悲嘆に暮れさせたアキ・カウリスマキ

それから6年、カウリスマキは最高のラブストーリーを提げて帰ってきました。

あらすじ

北欧の街ヘルシンキ。アンサは理不尽な理由から仕事を失い、ホラッパは酒に溺れながらもどうにか工事現場で働いています。

ある夜、カラオケバーで出会ったふたり。互いの名前も知らないまま惹かれ合います。

ですが、不運な偶然と現実の過酷さが、彼らをささやかな幸福から遠ざけてしまいます。すれ違ってしまうふたりの想い。

果たしてアンサとホラッパは、無事に再会を果たし想いを通じ合わせることができるのでしょうか?

フィンランドを代表する俳優が静かな熱演

『TOVE/トーベ』でムーミンの作者トーベ・ヤンソンを演じ大きな注目を集めたアルマ・ポウスティと、『アンノウン・ソルジャー 英雄なき戦場』で高い評価を得たユッシ・ヴァタネン。

日本では馴染みが薄い両者ですが、フィンランドでは数々の賞を獲得し、出演作が続々と控えている人気俳優です。


また、寂しいアンサに寄り添っている、カウリスマキ映画には欠かせない名優「犬」の登場も忘れてはいけません。

アルマ・ポウスティ(アンサ)

1981年生まれ。2007年にヘルシンキ大学シアター・アカデミーで修士号を取得。

以降、北欧諸国の多くの有名な舞台に立つほか映像作品にも出演し幅広い活動を続けてきました。

2020年『TOVE/トーベ』(ザイダ・バリルート監督)で主演を演じ映画俳優としてブレーク、この役でフィンランドのアカデミー賞にあたるユッシ賞で主演女優賞を獲得。

TVドラマ「Helsinki Crimes」、「Blackwater」や2023年ヨーテボリ映画祭で主演女優賞を受賞した映画『4人の小さな大人たち』など数々の北欧の映画やTVドラマに出演。

『枯れ葉』に続く出演作としてファレス・ファレス監督『A Day and a Half』(主演)、ピルヨ・ホンカサロ監督『Oreda』が控えています。

ユッシ・ヴァタネン(ホラッパ)

1978年生まれ。フィンランドで最も有名な俳優の一人。

主演した2010年の『ラップランド・オデッセイ』(ドメ・カルコスキ監督)で一躍有名となり、同作品は2本の続編が作られました。

以降、数多くの映画やTVで着実なキャリアを築いています。

代表作にフィンランドで史上最高の興収を記録した『アンノウン・ソルジャー 英雄なき戦場』(2017年、アク・ロウヒミエス監督)、『Dark Corners』(2021年、リチャード・パリー監督)の‟Zaney“役、ユッシ賞最優秀男優賞にノミネートされた2020年の『フォレスト・ジャイアント』(ヴィレ・ヤンケリ監督)があります。

【作中楽曲】姉妹ポップ・デュオ「マウステテュトット」

劇中、さまざまな音楽が流れ、作品を彩っています。その中でも、独特の雰囲気の歌唱で観客を虜にした「マウステテュトット」。

監督のアキ・カウリスマキも大ファンと公言しています。

『枯れ葉』で悲しみ失意を意味する楽曲「Syntynyt suruun ja puettu pettymyksin」の演奏を披露したことで、日本でもマウステテュトットの人気に火がつきました。映画館でのオンラインQ&Aなどイベントも急遽開催。

劇中でのアンニュイな雰囲気が『枯れ葉』の観客たちを魅了しています。

マウステテュトット略歴

フィンランドのヴァーラ出身、ヘルシンキ在住のアンナ・カルヤライネン(ギター)とカイサ・カルヤライネン(キーボード)姉妹からなるポップ・デュオ。

バンド名MAUSTETYTÖTはフィンランド語で「スパイス・ガールズ」の意味をもつそうです。

2019年2月にリリースしたファースト・シングル「Tein kai lottorivini väärin(宝くじを外した気がする)」が1か月でYouTubeの再生数219,000回、Spotifyの再生数245,000回を記録し話題になりました。

翌10月にファースト・アルバム「Kaikki tiet vievät Peltolaan(すべての道はペルトラへ続く)」を発表。

2020年に発表したセカンド・アルバム「Eivät enkelitkään ilman siipiä lennä(翼がなければ天使も飛べない)」はフィンランドのチャートで第2位を記録。

同年、フィンランドのグラミー賞といわれるエンマ・ガーラでロック・オブ・ザ・イヤー、バンド・オブ・ザ・イヤーの2冠に輝きました。

2023年3月に3枚目のアルバム「Maailman onnellisin kansa (世界で最も幸せな国民)」をリリースしています。

映画「枯れ葉」の口コミレビュー

口コミ

ミニシアター系で大ヒット『枯れ葉』。映画好きがこぞってベタ褒めしています。

一般の映画好きだけではなく、映画評論家たちも大絶賛。この口コミが『枯れ葉』のヒットの要因の一つと言えそうです。

世界中の映画評論家たちが大絶賛

2023年5月22日に第76回カンヌ国際映画祭で行われ、コンペティション部門でパルム・ドールを争い、映画『枯れ葉』は審査員賞を受賞しました。

その後、フィンランドでは2023年9月15日に公開。

批評家からの評価は高く、ナショナル・ボード・オブ・レビューからは2023年の国際映画トップ5に選ばれました。国際批評家連盟FIPRESCIの年間最優秀作品にも選出されています。

また第96回アカデミー賞国際長編映画賞にはフィンランド代表作として出品され、惜しくもノミネートは逃しますが最終選考15作品に残りました。

他にも『タイム』の2023年のベスト映画10で1位、『カイエ・デュ・シネマ』の2023年のトップ10映画で5位。ナショナル・ボード・オブ・レビューでも2023年の国際映画トップ5に含まれています。

また『AP通信』は『枯れ葉』を2023年のベスト映画一覧に加え、この一覧に回答した批評家のうちリンゼイ・バーは6位、ジェイク・コイルは1位に選ぶなど、批評家たちがこぞって絶賛。

世界中の映画評論家たちを虜にした一作と言えそうです。

筆者の感想

PC レビュー

日本中に『枯れ葉』の口コミが波及していた

映画『枯れ葉』を見たのは平日朝10時の回。

前日にネットで席を予約した時の状況は私を含めて2席のみだったため、時間ギリギリに映画館に向かいました。

すると、会場の入り口付近は長蛇の列。年に数回通っているミニシアター系の映画館ですが、いつもこの回はパラパラと観客がいる程度だったので驚きでした。

この映画館は関東にありますが、都内までは少し時間のかかる立地です。都内で公開されてから少しタイムラグがあるため、この映画に限らず、ある程度口コミなどで観客の入りは変わってくるのかなと個人的には思っています。

客層は老若男女幅広く、皆さん楽しみにしていた様子で、終わった後も良い映画を観たなという余韻が感じられました。

二人に寄り添いたくなる

率直な感想は、実に寡黙でシンプルな映画だということ。

ラジオからロシアとウクライナの戦争の件が流れてきますが、明確な時代設定は明かされません。

また、登場する人々の表情やセリフが表現豊かなものではなく、心情や背景などを観客が想像し、読み取る必要があります。

ただ、それは決して意味不明なものではなく、この二人はどうなってしまうのだろうと、気づけば彼女たちの心に私たちが寄り添っているような状況になります。その中で二人の表情がフッと緩めばこちらも緩んでしまう不思議な感覚に陥りました。

比べる必要はありませんが、日本の映画やドラマはセリフなどで状況を説明することが多く、察するということをしなくても楽しむことができる親切な部分があります。

この映画『枯れ葉』は、二人の感情を想像し、隣に寄り添っていればいいのかもしれません。

余計な飾りのないシンプルな、ある意味ド直球のラブストーリーでした。

自分と重ねながら

しかし、素直に退屈だったという意見もわからなくはなかったです。

行間に素敵な感情がこもっていたり(アンサがホラッパを家に呼ぶのにお皿を買い足したのに、そのあと捨ててしまうところは切なさと悲しさが入り混じってて結構好き)見所はありますが、それでも全体で見たら抑揚はありません。

ある程度年齢を重ねていた方が行間の隙間をぎゅうぎゅうに埋めることができて、物語に共感できるかもしれません。

ただ、若くてもこの二人の相手を想う気持ちが、ストレートに刺さる可能性はありそうです。好きな人がいれば尚更です。

歳を重ねたり、自分に重ねてみたり。

退屈な映画に見えても、退屈な日常に良いことが紛れ込むように、『枯れ葉』には珠玉のシーンがいくつも紛れていました。

時を経てから改めて鑑賞すると、全く違って見える映画の一つと言えそうです。

X(ツイッター)の感想

ほぼ皆さん絶賛です。

ただ、おそらくミニシアター系の映画好きの方が多く鑑賞され、投稿しているようです。

「『枯れ葉』の良さがわかんないなんて!」という風潮になるのもどうかと思うので、あえて言うと、退屈っちゃあ退屈です。

もし、ミニシアターだけではなくシネコンで上映され、大ヒットの口コミのみで鑑賞した方が増えたとしたら、X(ツイッター)や各レビューのスコアは下がるかもしれません。

「枯れ葉」監督アキ・カウリスマキの労働者3部作

労働者3部作『パラダイスの夕暮れ』『真夜中の虹』『マッチ工場の少女』に連なる新たな物語として発表された『枯れ葉』。

ギリギリの生活を送りながらも、生きる喜びと人間としての誇りを失わずにいる労働者たちの日常が描かれています。

アキ・カウリスマスといえば必ず挙がる「労働者三部作」。

『枯れ葉』の魅力をより感じるために、合わせて鑑賞してみてはいかがでしょうか?

監督のアキ・カウリスマスとは

1957年4月4日フィンランド、オリマティラ生まれ。

大学でコミュニケーション論を学んだのち、映画評論家としてキャリアをスタートさせます。

しかし評論だけにはとどまらずシナリオ作家、俳優、助監督など数々の仕事に携わるようになりました。

1983年に初長編監督作品『罪と罰』を発表。

1986年には『パラダイスの夕暮れ』がカンヌ映画祭監督週間をはじめ各国の映画祭に招待され、世界の映画人の注目を集めます。

日本では1990年に『レニングラード・カウボーイズ・ゴー・アメリカ』で注目されて以降、全ての監督作が公開され、とりわけ『浮き雲』、『過去のない男』、『ル・アーヴルの靴みがき』などは大ヒットを記録。

新作公開の度に熱狂的なファンを増やし続けています。

パラダイスの夕暮れ

パラダイスの夕暮れ

 (3.5)

世界中から高い評価を受けたアキ・カウリスマキ監督初期の傑作。

タイトル 原題パラダイスの夕暮れ Varjoja paratiisissa
監督アキ・カウリスマキ
脚本アキ・カウリスマキ
キャストマッティ・ペロンパー
カティ・オウティネン
サカリ・クオスマネン
エスコ・ニッカリ
製作年1986年
製作国フィンランド
上映時間74分
配信サイトAmazon Prime video
U-NEXT
Lemino
FODプレミアム
DMM TV
TSUTAYA DISCUS(DVDレンタル)

あらすじ

フィンランドのヘルシンキ。

ゴミ収集車の運転手ニカンデルは代わり映えのしない毎日を送っていました。同僚から一緒に独立しないかと持ちかけられますが、その男は急死してしまいます。

そんな中、スーパーのレジ係イロナに想いを寄せていたニカンデルは、ある日思いきって彼女をデートに誘いますが、その内容が不満を買って振られてしまいました。

一方、イロナはスーパーをクビになった腹いせに店の金庫を持ち出し、ニカンデルの元に転がり込んできますが…。

作品の見どころ

“労働者3部作”第1作にあたるアキ・カウリスマキ監督初期の傑作と言われています。

貧しき労働者たちの厳しい現実と懸命に生きる姿を描くというテーマ性、極端に少ない台詞、無表情な登場人物などの作風をこの時点で確立しています。

カウリスマキいわく「『枯れ葉』は『パラダイスの夕暮れ 2.0』」だそうです。

真夜中の虹

真夜中の虹

 (4)

アキ・カウリスマキ監督が手がける2作目の作品。
思わぬ方向に進んでしまった人生を、それでも必死に生きて行く人たち、無骨な男のロマンを描いた作品。

タイトル 原題真夜中の虹  Ariel
監督アキ・カウリスマキ
脚本アキ・カウリスマキ
キャストトゥロ・パヤラ
マッティ・ペロンパー
スサンナ・ハーヴィスト
エートゥ・ヒルカモ
製作年1988年
製作国フィンランド
上映時間74分
配信サイトAmazon Prime video
U-NEXT
Lemino
DMM TV
TSUTAYA DISCUS(DVDレンタル)

あらすじ

フィンランド最北端のラップランド。炭鉱夫カスリネンとその父が鉱山の閉鎖で職を失い、父は自殺してしまいます。

父が残したキャデラックに乗り、希望を求め南に向かうカスリネン。しかし、道中で強盗に所持金を奪われ、仕方なく日雇い労働に就くことになります。

そんなある日、駐車違反を取り締まるシングルマザーのイルメリに惹かれ、生活費のために愛車を売ってしまいます。

そして偶然、以前襲われた強盗を見つけ追いかけますが、逆に逮捕され懲役刑を課されてしまうのでした…。

作品の見どころ

“労働者3部作”第2作にあたるアキ・カウリスマキ監督のハードボイルドロマン。

仕事も家もお金も何もかも失った男が希望を求めて南へと向かう波乱万丈の旅を、カウリスマキ節というべき淡々としたタッチで綴っています。

マッチ工場の少女

マッチ工場の少女

 (3.5)

アキ・カウリスマキ監督の第3作。

タイトル 原題マッチ工場の少女 Tulitikkutehtaan tyttö
監督アキ・カウリスマキ
脚本アキ・カウリスマキ
キャストカティ・オウティネン
エリナ・サロ
エスコ・ニッカリ
ヴェサ・ヴィエリッコ
シル・セッパラ
レイヨ・タイパレ
製作年198年
製作国フィンランド
上映時間69分
配信サイトAmazon Prime video
U-NEXT
Lemino
DMM TV
TSUTAYA DISCUS(DVDレンタル)

あらすじ

フィンランドのヘルシンキ。

マッチ工場で働く少女イリスは、母と継父に給料を搾り取られて服もろくに買えず、ディスコに行っても声を掛けてもらえません。

ある日、店先で目にした派手なドレスを思いきって買いますが、両親に激怒され返品を命じられてしまいます。

それでもこっそりドレスを着てディスコに繰り出したところ、アールネという男性に誘われ一夜を共にします。

愛に満たされたイリスは有頂天になりますが、アールネの態度は冷たいものでした…。

作品の見どころ

マッチ工場で働く貧しい少女の不遇と復讐を描いた、アキ・カウリスマキ監督の“労働者3部作”第3作。

台詞が極端に少なく、ヒロインの心情を代弁するかのように激情的な歌詞の音楽が印象的に用いられています。

まとめ

まとめ

映画『枯れ葉』はシンプルなストーリですが、忘れていた何かを思い出させてくれるような感覚に陥りました。

お互いを想っているのにすれ違ってしまう二人。

物質面で恵まれた環境とは言えない状況でのラブストーリーですが、携帯がなかった世代には、特にこのすれ違い感はよくわかるはず!

気持ちを伝えるには、やっぱり会わないと!好きな人に会うのにオシャレしたり美味しいもの用意したり。

映画『枯れ葉』は、お互いを思いやる優しさを思い出させてくれます。

手のひらの中で完結できてしまう便利な世の中だからこそ、シンプルさが心に沁みる映画でした。

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